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電脳妖精ユヅキ #4
それから数日、あてのない旅が続いた。孤児院から一歩も出たことのない私に、あてなんてあるわけがなかった。 行く先々で、私ひとり店先のパンを盗み、川で汚れた服を洗ってやり、橋の下で雨風を凌ぎ、みんなでくっついて丸まって寝た。 そんなある日のことだった。...
kyaurope
2024年2月11日読了時間: 3分
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電脳妖精ユヅキ #3
今までのことだって予想できたわけじゃなかったけど、それでも予想外だったのは、孤児院の何人かの子たちが私を探しに来てしまったことだ。 ――探しに来てくれたのが、私の“お母さん”と“お父さん”だったなら。 そんなことを考えてしまった悔しさに唇をきゅっと引き結んで、橋の下でみっと...
kyaurope
2024年2月11日読了時間: 2分
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電脳妖精ユヅキ #2
今日も、世界は地獄だ。 私は孤児院で生まれ育った。衣食住に困ることはなく、何も知らない子供の頃は幸せだった。ただ無邪気に、給食の残りを奪い合い、ボールを追いかけていればそれだけで笑えた。 ある日、自分の“両親”を目にするまでは。...
kyaurope
2024年2月11日読了時間: 2分
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電脳妖精ユヅキ #1.5
……ヴヴーン、と、薄暗闇に、地に響くような電子音が唸る。 それは呼吸のように規則正しく、あるいは呼吸そのものだった。 それとは別に、ワイングラスをことりと置いた呼吸体。人間の男。 「またシュワルツが“ユヅキ”を捕り逃したらしいぞ」...
kyaurope
2024年2月11日読了時間: 2分
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電脳妖精ユヅキ
今日もいい天気だ。ユヅキにとってはいつも通りのパトロール日和。 ふと、観光名所の一つである古くからの大神殿の大混雑の最中の自分の視界の端に、擬態しきれていないタコの足が、目の前の男の後ろ髪にうごめいているのが見えた。 「――異人、確保ーッ! 皆さん、すみやかに退避して通報し...
kyaurope
2024年2月11日読了時間: 5分
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