思わず興奮しながら自分の夢を母親に

語って聞かせる少年を描きました。

彼は毎日いじめられていますが、

気付くと辛いので、みんなに悪い感情を抱きたくないので、

気付かないふりをしていつも笑顔で小首をかしげています。

毎日いじってもらえて嬉しい。みんな優しい。

自分はみんなに優しくしたい。そう信じ続けています。

花束を渡すように、褒め言葉を述べたり、

アドバイスをしたりするのです。

もしかしてそんな子が、あなたの近くにもいませんか。

星の王子さまに出てくる薔薇はわがままで、

わざとらしく咳をして

自分は弱いものであると印象付けようとしたり、

そうかと思えば「わたしにはとげがあるのよ」と

強さをアピールしたりします。

王子さまも、あれを読んだ読者も、きっと

「もっと他に良い子はいる」と思ったことでしょう。

​

でも、もしかしたら。

薔薇の目線に立ってみたことはありますか？

​

自分は根を張った場所から一歩も動けないのに、

あの大きな手で手折られたらあっという間に死んでしまうのに、

あの巨人はお構いなしに自分の周りを歩き回る。

生きるも死ぬもすべてその人次第。

薔薇は怖かったのかもしれません。

いざというときにはあわたしにも武器があるんだと、

​言わざるを得なかったのかもしれません。

彼は愛情を象徴する薔薇をみんなに配っていますが、

前だけを見ていて地に足がついていません。

配った薔薇も風に散じていきます。

彼は気付いていないのです。

​そんな自分の影(シャドウ)に死神がいることを。

父が代々医者で、教育ママの母に常々そう言われて育ち、

交友関係や趣味を縛られ続け、

ある日恋をしてしまってから点数が落ちたことで、

母に「なんであんな女なんかと！」と狂乱されたので、

今日こそはとカッターを母に向けてついに刺してしまう、

​そんなある息子のお話です。

「この絵に刺繍をしてみたらどうだろう？」と

ご提案いただいたので、展示会までに頑張って刺繍しました。

主役の薔薇が目立ち、素敵な出来になったと思います。

やってみて良かったと思っています。​