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見た夢の書き起こし スチームパンク レイトン風の短編レトロトゥーンアニメ映画調

  • 執筆者の写真: kyaurope
    kyaurope
  • 2024年1月7日
  • 読了時間: 2分

気難しい無口な年寄りである身なりの良い老紳士。

専用の小型旅客機から降りてきたところを、高位そうな年増の貴婦人とこれまた気難しそうな髭を生やしたお付きが出迎えて早々に「ちょっといいですかな、⚪︎⚪︎伯爵」と言って「この少年に見覚えは」と高圧的に聞く。

羊皮紙に描かれた手配状に、レンズがいっぱい付いた眼鏡をしているちんちくりんが載っていた。

伯爵がまだ押し黙っているうちからお付きは「見覚えアリとお見受けしますな。ご説明願いましょう」と言う。

すると立体的にグルグル歯車が回って、スチームが音立てながらメカニックな机とソファが床からせり出してきた。三人はそれに腰掛け、旅客機のドアマンは下がる。


映写機が映る。そこに回想するように、紳士の前に少年が現れたときのことが映る。

センターに少年。紳士の視界のようだ。横に居るホテルのドアマンが、身汚い少年の来るところじゃない、物乞いかと思って拳銃を向ける。

一発撃つ。それで取り巻きの野次馬はみんな逃げていったのに、少年は物怖じしない。

ドアマンが怒鳴って『本当に頭を撃ち抜いてやろうか』と拳銃をもう一度向ける。

紳士が遮った。

少年が何かを突き出して見せたからだ。

「ギアが合わないのかい」

「見せてごらんなさい」

驚く少年に、紳士は優しく声を掛けた。少年も一か八かの来訪だったのだろう。紳士自身も少し驚いているようでもあった。紳士は少年を部屋に入れ、得意の技術で直してみせた。


それが映し出した映像は、めくるめく移り変わる世界地図とその現地の映像で、少年は紳士の膝に寄り添ってすっかり興奮していた。「あの国は!?」などとはしゃぎ、紳士は丁寧に子供でもわかる言葉で静かに説明を呟いていた。

まるでその光景は祖父と孫のようであった。

暖かい空気。しかし実際に祖父と孫ではないのだ。紳士は独身だ。紳士は、その少年の祖父の親友だったのだ。

工芸物を一目見ただけで分かった。今は亡き親友、その魂の篭もった一作だと。

少年と共に過ごしたこの不思議な時間は、同じ工芸家として過ごした彼との日々を懐かしむ時間でもあった。

そして、しかしその少年は帰してしまった。指名手配とは、これ如何に。

これでこの夢の物語は終い。

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