
──“ストリート・マジック”
◆ Scene*** ──
君たちの周りに突如、不思議な空間が広がる
学校、任務中、プライベートどんな状況だったかは君たちの"日常"次第だろう。
"ストリート・マジック" :
「……あれ?ここは?」
君達と共にこの場所に飛ばされたのだろう。
空間に張られているワーディングの下で動いている彼は、こちら側の住人だ。
黒峰 達哉 :
「……!?」
咄嗟に身構え懐の拳銃に手を掛けて周囲を窺う
不知木 藤 :
「……? あれ?」
読んでいた本を閉じて周りを見渡した。
クランシェア :
「ふぇ……ぇ!?」
キョロキョロしだす。
"ストリート・マジック" :
「おっとっと……みなさん、巻き込まれたみたいですねぇ。」
構えられた拳銃を見て両手を上げてへらへらと笑う
不知木 藤 :
「読書向きの光源じゃないですね……」
困ったように電気を探す
クランシェア :
「こ、ここ何処ぉ……? 私、また誘拐された……??」
"ストリート・マジック" :
「誘拐……かもしれませんね……ひとまず出口を探しましょう。」
「見る限り、バラバラになると元に戻れなさそうなので皆さん一緒に」
黒峰 達哉 :
「……。巻き込まれた。ですか」
「まず、あなたの所属をお教えいただけますか」
まだ警戒は解かない
"ストリート・マジック" :
「え、それは……教えてもいいのですけど、先にあなた達から教えていただかないと……。」
「第一あなたたちが同じ組織なのかもわかりませんが……これでFH三人に私が囲まれてましたなんてなったら命が足りませんよ」
不知木 藤 :
「おに……お姉さん? 訳知り顔だけれど、貴方は自分からここへ?」
"ストリート・マジック" :
「訳アリ?いやいや、私はただカフェでコーヒーを嗜んでたところでしたよ……人畜無害に過ごしてましたって」
不知木にそう答える
不知木 藤 :
「身分証明できるようなものもありませんけど……。さて、どうしましょうか」
黒峰 達哉 :
(……。)
「……分かりました。ひとまず、所属の如何に問わず、協力すると決めましょう。所属を明らかにするのは得策ではないようです」
一旦信用して銃を降ろします
クランシェア :
「あのぉ……私、クランシェアっていうの。境獄市のUGN支部長だよぉ。……9歳。」
おずおずと手を上げ、名乗り始めた。
"ストリート・マジック" :
「あぁ……支部長さんがいるなら」
「安心です、イリーガルの……コードネームは"通り風〈ストリートマジック〉"です」
不知木 藤 :
(大丈夫なのかなあこのメンバー…)
烏合の衆はこの空間の探索を始める……が、一時間探索しても手掛かりがない
レネゲイドによってつくられた空間だという誰でも思いつくようなことしか得られなかった。
"ストリート・マジック" :
「ダァメみたいですね……何もわかりゃしない……」
「少し休憩しませんか?おしゃべりでもしながら」
座敷のように広がった空間に転がっていた座布団に座る
クランシェア :
「つかれたぁー、私もお休みしたぁい」
黒峰 達哉 :
(……。困った。確かに何ら手掛かりも見つからないし、適当に発砲しても空間に狂いがない。今の間に外で何かなければ良いのだが……)
不知木 藤 :
「この広い空間を4人で探索するのは、少し大変ですね……」
"ストリート・マジック" :
「いつまで歩いても、景色は変われど壁は無しですものね。」
「少しリフレッシュです。私昔は雑誌の記者だったんですよ、だから皆さんのお話でも聞かせていただけたらなって」
「これも何かの縁です。」
EE空の楽器であたりにBGMをつける
不知木 藤 :
「わあ」
"ストリート・マジック" :
「言い出しっぺの法則ですね……まぁ、自分の話といってもつまらないことしかないですけど。」
GM : ハヌマーンピュア
年齢は30代、今はイリーガルの仕事をしながら各地を転々としているという。
"ストリート・マジック" :
「まぁ、こんな感じですかね。諜報の仕事しかないもんで……表舞台には出ないですけどね。」
「ところで、クランシェア殿しか聞けてなかったですが、お名前は?」
不知木 藤 :
「……藤、です」
黒峰 達哉 :
「……明らかにする理由がないですね。私はまだあなたのことを信用しきれていません。私はUGNのチルドレンに所属します」
不知木 藤 :
「そういえば、貴方のお名前は……? コードネームしか聞いてません」
黒峰 達哉 :
「データベース上であなたが名乗ったコードネームは見覚えがありますが……諜報のイリーガルとなれば、ここで得られた情報がどこにどう流されるとも限らないでしょう」
"ストリート・マジック" :
「まぁ、コードネームしかありませんからね……色々なところに転々とする都合上、この世界に入ってからは定まった名前はないですね。」
「今の名前は"足立 鉄幹"……ですかね。」
「うーん、じゃあ身寄りの話はやめますか。」
「ご趣味とか、何かないのですか?藤殿がちらっと申されてたように読書とか、何を読まれているのかとか」
黒峰 達哉 :
腕を組み注視し、それも答える気がない態度をとります
クランシェア :
「趣味ぃ……? えっと……麻雀……?」
"ストリート・マジック" :
「麻雀ですかぁ、最近若い人たちもやると聞きましたが……支部長ともなると付き合いでやられることもあるんですね。」
不知木 藤 :
「麻雀……。みんなよくあんなの覚えていられますよね……」
「本……。読みますか?」
何かが英語で書かれているようだ。
"ストリート・マジック" :
「はえぇ、英語は軽くなら読めますが……」
覗く
不知木 藤 :
なにやら古代文明に関する学術書らしく、見たことのない単語が並んでいる
"ストリート・マジック" :
「……何かの歴史書なのはわかりましたが……ここの単語は専門用語でしょうかね、翻訳難しいですね」
黒峰 達哉 :
「……。先ほど各地を転々としていると仰いましたよね。国外で仕事されることはあるのですか?」
探るような質問の仕方をする
"ストリート・マジック" :
「ありますよ、直近は西ヨーロッパのアテネの方ですかね。」
「アレクサンドロス大王にまつわる"遺産《レガシー》"の調査で。」
黒峰 達哉 :
(くそ……俺が《声なき声》か何かでもあれば多少の相談もできたのに……いや。しても仕方がないか……)
不知木 藤 : ガタッ
GM : ※遺産《レガシー》
太古のレネゲイドに関連する物品や情報のこと
契約を交わすことで本来の膨大な力を行使できるが、代償は遺産によって異なる
黒峰 達哉 :
「……それは調査後、どうなさったんでしょう?」
不知木 藤 :
(なんだそっちか……)
着席
クランシェア :
(なんか難しい話してる)
懐からココアシガレットを取り出し齧り始める。
"ストリート・マジック" :
「お高いですよ?」
悪戯に微笑む
「あなたの名前と同じくらいには」
「高いと思います」
黒峰 達哉 :
「……」
不知木 藤 :
「……ふふ」
うまいなあ、といった感じで笑っている
"ストリート・マジック" :
「藤殿は歴史に関して関心がある用で……好きな時代と国とかはあるのですか?」
黒峰 達哉 :
険しい表情のまま、腹の探り合いをやめる気がない
"ストリート・マジック" :
黒峰の様子を面白がりながら質問を続ける
黒峰 達哉 :
なんならそもそも明確に距離を置いた位置に、全員座っている限りはあくまで仕方なくといった様子で、すぐに立てる姿勢で座っている
"ストリート・マジック" :
同じく
不知木 藤 :
「好きな時代……ですか。強いて言うなら、まだ国という概念もないような頃、ですかね……」
クランシェア :
(石槍とかマンモスを思い浮かべる)
不知木 藤 :
「もっとも、最近は人の発見を本で読むことしかしていませんが」
黒峰 達哉 :
面白がられているのは分かるので、我慢していたのだが相手を注視したまま無意識にピアスを触る
"ストリート・マジック" :
「ふふふっ……」
黒峰 達哉 :
何が面白いのかわからず眉をしかめる
不知木 藤 :
(仲良し…?)
ふたりの様子を見ながら笑っている
"ストリート・マジック" :
「さて、ここから少し難しい話をしましょうか」
「UGNの皆さま、どうも。私はFHです……あなた達とここで殺し合う気はありません。」
「だから皆さん、抵抗しないでください。血はみたくないので。」
黒峰 達哉 :
直ちに拳銃を抜き立ち上がる。
GM : 気が付くと、頭の後ろに銃口が当たる
黒峰 達哉 :
「ッ……!」
クランシェア :
「はにゃ……!?」
ビビり散らす。
"ストリート・マジック" :
抜かれた銃口に両手を上げる
GM : 知覚:難易度5
黒峰 達哉 : 9dx (9DX10) > 10[1,2,3,4,4,5,7,9,10]+7[7] > 17
クランシェア : 3dx (3DX10) > 10[6,7,10]+3[3] > 13
GM : ストリートマジックの言っていることはすべて真実である。
本当に、敵意もなくただ話を求めているだけである
"ストリート・マジック" :
「まぁ、UGNの皆さまは私たちのことをジャームと決めつけ世間話をしてくれないので、ここまでしないとお話しすらできないので」
不知木 藤 :
「普通に呼んでくれればよかったのに、ね……?」
黒峰 達哉 :
「……似たようなものでは? FHとして活動しているのであれば」
「何しろ、このように銃口を突き付けて脅すのがFHの敵意のない対話方法なのですか?」
不知木 藤 :
「え……」
"ストリート・マジック" :
「なら、解除すれば私と対等に話してくれるのですか?黒峰殿」
黒峰 達哉 :
「……!!」
不知木 藤 :
「いや、それ黒峰君が言うと面白いですね……」
"ストリート・マジック" :
「私は力を持たないんですよ。このように人のことを見透かすことしかできないんです。」
黒峰 達哉 :
「なにを言っているんだ、それどころじゃないだろう!」不知木を横目で睨み注視しなおす
"ストリート・マジック" :
「だから、皆と楽しく話したくても撃たれてしまってはお話しできません。」
GM : 指を鳴らすと、黒服と物騒なBGMが消える
不知木 藤 :
「だって、実際いの一番に拳銃を抜いたじゃないですか」
黒峰 達哉 :
「そりゃあそうだろう! 事実FHだったんだからな!」
"ストリート・マジック" :
「これなら、話してくれますか?銃口もなく、弾圧もない。」
「ある違いは信じる宗教《カミ》だけです」
黒峰 達哉 :
「……宗教《カミ》……?」
困惑したようにますます眉間にしわを寄せる
「……何が目的だ? こんな回りくどいことをしてまで直接の諜報を行って、UGNの何が知りたい?」
"ストリート・マジック" :
「だから言ってるじゃないですか……私の欲望は、衝動は」
「君達と世間話することで満たされるんだ」
「こんな通り魔"ストリート・マジック"……嫌いでしたか?」
不知木 藤 :
「へえ……。そういう欲求もあるんですね……」
GM : 正座を崩し、胡坐をかく
不知木 藤 :
(やっぱりジャームって面白いなあ)
と楽しそうにしている
黒峰 達哉 :
「……そんな衝動。聞いたこともない」
まだ銃口を下さない
"ストリート・マジック" :
「さぁ、一緒にもう一度話しましょう?私の隠し事はもうないですよ、これであなた達は信用してくれますよね?」
クランシェア :
「はぅ……どうしたらいいんだろう……」
もじもじしながら周りの反応を伺う。
黒峰 達哉 :
「……本当にこの場限りの世間話だけで事が済むという保証がない。……FHが人を勝手に小一時間も拘束しておいて、何故信用されると思う。」
「……UGNの人間と対話したいだけなら、FHをやめれば済む話じゃないか。」
"ストリート・マジック" :
「質問を質問で返して申し訳ありませんが……では、あなたはこれからUGNと理念心情が合わなければ離反するということです?」
黒峰 達哉 :
「…………!」
顔色が強張る
"ストリート・マジック" :
「チルドレンからその言葉が出るのは……とても興味深いですね。」
不知木 藤 :
(会話してる……!)
とても興奮しているようだ
クランシェア :
若干の奇異を込めて不知木を見る。
黒峰 達哉 :
「っ……なにを…………。考えている」
拳銃を向ける力がやや弱まる
"ストリート・マジック" :
「思考実験ですよ……小を切り捨て、大を守ろうとするあなた達の。」
黒峰 達哉 :
動揺する。
"ストリート・マジック" :
「では、みなさん。質問を続けていいですか?」
「ここを出る条件は、私の欲望が満たされた時です。」
黒峰 達哉 :
(小を切り捨て……大を守ろうとする。……だと? UGNが? 確かにそうだが……だからといって、FHのテロ活動は人命を軽視したものだ……! それだって肯定されるべきものじゃない!)
ギリッ……と奥歯を食いしばる。ばっ、と拳銃を持った手を、あらゆる猜疑心をそうするように振り払って。
「……いいだろう! 答えられる範囲は答えてやる! だがそれはこちらからも問いかけていいんだろうな?!」
不知木 藤 :
「リアルトロッコ問題、というところですか……? 私は構いませんよ」
むしろもっと来いみたくなってる
クランシェア :
「トロッコ……? 炭鉱……? ??」
目を点にして立ち尽くす。
"ストリート・マジック" :
「ここに人体実験を繰り返す人間の研究員がいるとしましょう。その実験により悲しくも感情が爆発しジャームになってしまった化物が生まれました」
「君たちが真っ先に裁くべきはどちらですか?」
両脇には研究員とジャーム……そして君達の座布団の前にはモデルガンがおかれる
不知木 藤 :
「研究員」
即答
(まあ、本心はその実験を間近で見ていたい……。さらに言えば私自身がその実験をしたいのだけれど)
(ああ、彼、見通せるなんて言っていたっけ。じゃあ彼だけにこの思考を伝えることが出来たりしないかな……?)
訴えかけるようにストリート・マジックに笑いかけている。
クランシェア :
「ぅー……両方裁いちゃだめ……?」
言いにくそうに言葉を絞り出す。
"ストリート・マジック" :
「あなたの身体はひとつなので順番に裁かなければならないのです、先に裁くのはどちらですか?」
クランシェアにやさしく教える
黒峰 達哉 :
「そんな質問に何の価値がある! それは俺の立場で決めることじゃない! 上が判断するべきことだ! ただし……! ひとまずジャームは処分しなければならない! それは決定事項だ!」
"ストリート・マジック" :
「そして、藤殿……面白いですね」
「自分に正直で何よりです」
黒峰 達哉 :
なんのことだ……!? と不知木の顔を横目で伺い見る。
不知木 藤 :
「ああ……やっぱり?」
満足そうににっこり微笑んだ。
(私の思考は、どちらかというとUGNに知られるとまずいからねえ……)
クランシェア :
「ふぇ……じゃぁ……ジャーム……」
"ストリート・マジック" :
「そうですね、ジャームですね……それがきっとUGNとしての最良ですものね」
"ストリート・マジック" :
「で、黒峰殿?答えはどちらですか?」
「あなたはAとBで答える小さな解答欄に方程式を書こうとしている」
「それじゃあ、きっと書ききれませんよ」
不知木 藤 :
「どうしたんです?」
と黒峰に微笑む。少し頬が紅潮している。
黒峰 達哉 :
ぎりり……と、キツイ形相で“せんせい”を睨む。
「……ジャーム。」
"ストリート・マジック" :
「まぁ、黒峰殿の気持ちを汲み取るのなら……《研究員を裁くのは僕らではなく法》ですかね」
「では次です。」
黒峰 達哉 :
「…………《法》……。」やや瞳が揺らぐ。
"ストリート・マジック" :
「なんと日本支部長がジャーム化しました。」
「あなた達は真っ先に始末できますか?」
クランシェア :
「……!」
黒峰 達哉 :
「できる。それが確信を持てるのであれば」
"ストリート・マジック" :
「しなかった場合、事実は隠蔽されUGNはジャームが管理する歪な組織になります」
不知木 藤 :
「……? すればいいのでは……?」
なぜそんなことをわざわざ聞くのかが理解出来ない
"ストリート・マジック" :
「した場合、責任問題が発生します。確証はあったのかなどの」
クランシェア :
「おじちゃんに手をかけるなんて……出来ないよぉ」
涙目になって震え始める。
"ストリート・マジック" :
「……規模が大きかったですかね、意地悪な質問でしたね。」
黒峰 達哉 :
「調査をするべきでは? それも何より早く。総力を挙げ、拘束して検査にかけて確定させるべきです」
"ストリート・マジック" :
「黒峰殿らしいですね……そして、クランシェア殿らしい答えです」
「まぁ、大きすぎるたらればは質問するに値しないと怒られそうだったので、この人形はすぐにしまいましょう」
黒峰 達哉 :
「おい。俺の質問に答えてないぞ。」
"ストリート・マジック" : ?
「もう一度お願いしてもらっても」
黒峰 達哉 :
「そんな下らない質問なら、答えられるだけ答えてやる。だからこちらからも問いかけさせろ。フェアじゃないんじゃないか?」
"ストリート・マジック" :
「……あぁ!なるほど!」
「質問者を変える提案ですか」
「面白いですね!いいですよ」
GM : 空間が歪み、先程1対3の構図だった部屋の1に黒峰が来て、元居た位置に彼が座る
黒峰 達哉 :
「……! ……な、」
"ストリート・マジック" :
「では、質問をどうぞ」
黒峰 達哉 :
「…………。やはり。この空間はお前が作ったものか……」
強く睨みつける。
"ストリート・マジック" :
「いや?この話を聞く連れですね。」
「優秀なオルクスシンドロームですよ」
黒峰 達哉 :
「はぁ? じゃあ何か? お前のほかにもう一人協力者たるFHエージェントが居るってことか?」
不知木 藤 :
「そのお友達とは、お話しできないんですか……?」
"ストリート・マジック" :
「……?いや、彼女ってFHじゃない気がしますね」
「私も組織のことを聞いたことがないのでさっぱり……」
「ビジネスパートナーですよ」
「彼女、なかなかシャイで。私より表に出たがらないんですよね」
黒峰 達哉 :
「ならお前は何故FHに与する。こんなことを聞きたいだけなら、所属なんて何でもいいだろう。なんなら、UGNの方が公然とセットアップしやすいはずだ」
不知木 藤 :
「そうですか、残念。せっかくだし、色々な人と話してみたかったんですけど……」
"ストリート・マジック" :
「……私がなぜ、FHにいるかですか。」
「まず一つは、UGNでは欲望を満たせないから。私は研究員に引き金を引いて化物を飼うと答えるからあなた達とは気が合いません。」
「そしてもう一つは……これは例えの方が分かりやすいですかね。」
「皆は生まれた時肌の色を選べましたか?ジャーム化したUGNエージェントが起こした火災の中。私を拾ってくれたのは、警察でもUGNでもなく、一人のFHでしたよ」
「ご期待に添えましたか?」
黒峰 達哉 :
「……!」
表情が変わる。悲痛に似た色で、今度は訴えかけようとする。
「なら……! 市民をジャーム化させようと動くFHは理念に合わないはずだ! UGNエージェントだったかもしれないが、ジャームになったのならそれはUGNにとっても敵だ!」
「FHのしていることに思うところはないのか? 人は立場を後から選べるはずだ! それは……誰しもが持っている権利のはずだ!」
"ストリート・マジック" :
「…君がそれを唱えるのは、まだ早い。次会うとき、また同じ質問をすると思うので、また答えてください。」
黒峰 達哉 :
「え……?」
"ストリート・マジック" :
「クランシェア殿……藤殿…またお話しできるときはお話ししましょう。」
「こんなだだっ広いところじゃなくて、もっと落ち着いた場所で、お茶でも飲みながら」
黒峰 達哉 :
「どういう……意味だ?」
不知木 藤 :
「おや、もう終わるんですか?」
GM : 空間がぼろぼろと崩れる
黒峰 達哉 :
「待て……!!」
クランシェア :
「うにゃ……」
掛ける言葉が見つからない。
"ストリート・マジック" :
「いい時間でしょう、お開きです」
不知木 藤 :
「またいつでも呼んでください。少なくとも私は、貴方とお話しできて楽しかったですよ」
黒峰 達哉 :
「っ……! ふざけるなよ、なんのつもりだ……!」
拳銃を向けてエフェクトの限りを尽くして発砲し引き留めようと銃口を向けるが、不知木の言葉が脳裏をよぎって動作が止まる。
不知木 藤 :
「あ、これあげます。私、覚えちゃったので」
持っていた本を押し付ける
GM : 空間は崩れ……君たちは各々の日常に戻っていた。
GM : 何一つ変わらない、日常
GM : ただ、変わっているとすれば押し付けられた本を誰かが持っていることくらいだろう
不知木 藤 :
「本がない……ということは、幻覚の類ではなかったみたいですね……」
クランシェア :
「……」
神妙に俯く。
黒峰 達哉 :
「……………………っ」
目が泳いだまま、拳銃を持つ手が震えている。
ワーディングは切れている。早々にしまわなければまずい。
不知木 藤 :
「大丈夫ですか?」
黒峰の顔を覗き込んで言う
黒峰 達哉 :
「…………。っいえ。問題、ないです」
声を掛けられてはっとしたように、震える手で拳銃を仕舞う。まだ目は泳いでいて、動揺は明らかだ。
不知木 藤 :
「……? まあ、急なことでびっくりしちゃいましたもんね」
黒峰 達哉 :
「……ええ。そうですね。」
一旦落ち着こうと、不意に胸ポケットに手を伸ばす。……そこで何も落ち着いちゃいないことに自分で気が付き、襟元を掴んでごまかす。目を閉じ、深呼吸する。
クランシェア :
「……子供には刺激が強かったね、はは」
ぎこちなく笑い、頭を掻くふりをする。
黒峰 達哉 :
「……、子供」
自分が言われたわけではないのに、どこか胸に微かに刺さるのを感じる。
そしてそんな疑念をすぐに追い出し、目の前の幼子に微笑む。ぎこちなく。クランシェアの頭を撫でる。
「声を荒げたりして、驚かせるようなことをしてしまいましたね。ごめんなさい」
「……また、店に遊びに来てください。いつでも、料理を振舞いますよ。……あのくらいで良ければ。……ですが。」
クランシェア :
「ふぇ……!? ち、違うの、そんなことより……あの人の聞いてきた事が、あまりにその……」
そういって言葉に詰まる。
「もちろん、またオムライス食べにいくよ! お兄ちゃん上手だもん!」
不知木 藤 :
「オムライス、ですか。あなた、料理までできたんですね。随分と多技能な人だ」
黒峰 達哉 :
「……、」
クランシェアの返答に、自分が如何に自分の事しか考えられていなかったか気が付く。
「……忘れましょう。詮無きことですし、支部長がどうというのは実際にはない話です。……ないようにすれば良いんですよ。我々で。そうでしょう?」
クランシェアに微笑みかける。
黒峰 達哉 :
そうして、不知木の方に顔を上げる。
「あなたも食べに来ます? 私はバイトですけど。味は保証しますよ」
クランシェア :
「うん……、忘れるのが多分一番簡単。そして最適解だと思う。……えへへ」
そういって微笑み返す。
不知木 藤 :
「…………。わす、れる……」
少し表情を硬くして、不知木が呟いた。
「……まあ、霧谷さんがジャームになるような事態になれば、それより先に私たちのほうが……。いや、一緒にしたら失礼ですね。少なくとも私は、もう……」
打って変わって、にこりと笑う。
「……また、近くによることがあれば、お店にもお邪魔させてください」
黒峰 達哉 :
「……」
それぞれの言葉の一つ一つに、なにか、どうもはっきりしないわだかまりを感じつつ。
「……えぇ! 是非ともお待ちしておりますよ。私がいなかったとしても、店の者はきっと全員歓迎するでしょう」
ぎこちなく微笑み返す。
……はた、と。時間が気になり携帯を見て確認する。
「……あ。……それこそ、夕食の時間ですね……。……すみませんが、私はそろそろ店に帰ります」
クランシェア :
「ぁ……もう日も暮れて来たね。子供は帰らないと、お巡りさんに声掛けられちゃう……。私も帰るね!」
不知木 藤 :
「そう、ですね……。支部長、赤ドラでいいですか? 送りますよ」
クランシェア :
「いいの? ありがとぉ! お言葉に甘えるね!」
黒峰 達哉 :
「あぁ! あなた方は同じ支部だったのですね! それでは安心です。……(送っていってあげてください、は失礼か。)気を付けてお戻りください!」
では。と、会釈をして、携帯を開きながら返事も待たずに足早に帰路につく。
不知木 藤 :
「はい。あなたも一応未成年なんですから、帰り道は気を付けてくださいね」
黒峰の胸ポケットを指しながらからかうように笑う
クランシェア : 「お兄ちゃんも気を付けてね~!」
遠ざかっていく背中に手を振り、車の窓を閉めた。
不知木 藤 :
「はい。じゃあちゃんとシートベルトしてくださいね。発進しますよ」
クランシェア :
「はぁい、よろしくお願いします!」
わざとらしく畏まり、シートベルトを締めて微笑む。
ふたりを乗せた車はゆっくりと加速し、境獄市に向けて走り出したのだった────。