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―Collaboration

Episode5
禍魂集いし戦道2017 

  惑星ハルコタン、黒の領域。

​ 闇夜に吹雪く、紅葉の、山路確かな、月の夜。

 月……? この惑星に、輪っかはあれど、衛星はなし。

 であれば、あの朱く光るまあるいものはなんであろう。

 闇夜といったが、大嘘だ。だってこんなに朱い光が降っている。

 麓の参道前で、烏合の衆に告げられる。

 これは異常で、彼らはアークス。

 妖力の集う神社まで、一直線に調査を開始!

「いやはや、困ったものだね。毎度懲りずによくおせっかいを焼くものだ」

「そういうな。ダーカーを撃退するのが我々の仕事だ」

 半笑いのクロラと終始真面目なオスカーが、弾丸を詰め終えてパチンと鳴らす。

「妖力の集中によって、黒の民が引き寄せられている……それを狙いにダーカーは大挙して現れるに違いないわ……全て打ち倒さないと」

「つまり強いヤツが現れるってことだよなァ!? アタシャワクワクしてたまらないよ!」

「貴女……戦いそのものを楽しんでる……? 危険だわ、くれぐれも被害は拡げないようにしてちょうだい」

「あん? なんだいその目は……そうか! アタシとやり合ってくれるのかいッ!?」

 凛とした瞳でソードを握りしめるアリス=キューブと、物珍しい玩具である飛翔剣を使って闘ってみたくて仕方のないわご。

 その二人の間を小さいニューマン男、クルスが横切っていく。

「あ~、なんか揃ったっぽいからそろそろ行くぞ~、誰かテレポーター起動してくれ」

「じゃあ、僕がつけるね♪」

「あらあら……あの……あなたどうしてそんな恰好で歩いてるの?」

 ブーメランパンツ一丁の自称天使、音梟がテレポーターを起動するのを、ステラは口元をニットの袖で覆いながらじっと見ている。

 真面目一徹、オスカーは慣れない生体パーツでため息を吐く。

「全く……アークスは相変わらず妙な連中が多いものだ……が、私は私の仕事をするだけだな」

「くらなたんはどこにいますか?」

「……は? いや、くらなは今日は自室にいると思うが……」

「くらなたんがナンバーワンだよってゼクシールが言ってたと伝えてください」

「……は? あ、あぁ……くらなの知り合いか……。わかった、伝えておこう…………。いや、本当にそうなのか?」

 オスカーがどれほど訝しんでも、この十字傷に似合わず猫耳を付けた男ゼクシールは何も動じず既に意識が戦場にあるようだ。

 そうこう騒いでいるうちに、テレポーターが作動した。

『緊急連絡です!』

 早速。ビンゴ。黒の民とダーカーが混戦状態。【双子】の眷属がカタカタと音を立て跳ね回っている。

「ひゃっほおおおおおうッ!! 存分に暴れるぞおおお!!」

 フォトンの刃を展開しながら滑空し轢き潰していく、わご、その討ち漏らしのコアを確実に貫き破裂させる、アリス=キューブ。

 

「今この空間にいる、我々以外の全てが敵……遠慮はいらないわ!」

 アリスが振り返ったその背後の玩具のコアを確実に射貫いていく、オネット。

「何でもいいさ、帰ったら美味しい酒が飲めりゃあねえ!」

 オネットが後方の敵を撃ち払ったのを横目に、アマツが勢いよく駆け抜ける。

「おっ。酒か! 酒はいいものだぞっ!」

 ステラの目の先にある敵の背後をアマツがとり、一閃でもって生命を断つ。

 ステラが眼鏡の縁を持ってクイとなおし、

 

「……みなさん、なにを呑まれるものかしら……?」

 と呟いた直後には大きなぬいぐるみのようなマスコット、トナカイの口を敵に向けてぶっ放す。

 オネットがゴルドラーダの顔面にバッチリと脆弱化弾を喰わせると、

「任務明けで月見だろ、カップ酒とかいきたいねぇ!」

 ひらりと閃光、刃の反射。アマツが十文字に切り捨てる。

「そりゃあいいっ! あれだろう、リリーパ族が表面にあしらわれているやつだろうっ!?」

 刃以上に輝き始めたアマツの瞳に、飛び掛かるプレディガーダが撃ち落とされる様とその死体をヒョイと飛び越えるクルスが映る。

「酒か~。つまみならうちにいくらかあった気がする」

「本当かっ!? ならば酒盛りと行こうじゃないか!」

 先のプレディガーダはまだ死んでいなかったらしく、最期の力でアマツに飛び掛かろうというのをクロラが双機銃の的にする。

「まったくこれは。宴会騒ぎの予兆だね?」

「好いじゃないか! なんといっても戦いは疲れるもんじゃてのう……おっと」

 とっさに口を閉じて目を逸らすアマツに、じとりと見詰めて顔を近づけて尻尾の先をつまむクロラ。

「聞いていたよ。この若作り」

「あっはっは……。見逃してはくれないかねえ……。代わりにそう……お前さん、酒はいけるくちかね?」

 クロラが指先を放して微笑む。

「少しだけなら」

 きつねの耳をピコリと立てて、アマツも笑う。

「なら、仕方がないから今宵は一本好いのを奢ろう! その分楽しもうじゃないか!」

 それはいいね、では決まり、と微笑み合った次の瞬間には、各々の刃をひらめかせ敵を一刀両断、屠っていく。

「ほお……秘蔵の酒か、こりゃライナも呼んできてたかるかな?」

「えー、そんなにウチも広くないんだけどな~」

 オネットとクルス、呑気にランチャーに跨り噴射で飛んで行くという荒業で一同を追う。

 

 

「え、宴会……? 待って、僕も行く……」

 音梟が切なげに手を伸ばした時、空気が一瞬で光を失って暗くなり、鬼火が浮かぶ。

 緊急連絡とは違う連絡が届いたふりをする音梟が耳元に手をあてがって何事か呟くと、

「『ご飯作って待ってる』コール……あぁ、勿論嫁だ……逝ってくる」

 と、神妙に頷く。

 クルス、おう、と一言だけ聞いて流す。オネット、いってら、と言う。

「くだらない……くだらない。みんな……みんな、こわしてあげる」

 少女の声。真っ暗闇に、浮いた黒い服と巻いたツインテールは溶け込んで、瞳だけが黄金色に輝く。

 その黄金の瞳の周囲に赤い炎が渦巻く。彼女、ぼつみんはそれを解き放ち、周囲のゴルドラーダを焼き払う。

「よわいよ。もろいよ。あの人のいる世界なんて、こんなものなんだね……」

 さらにフォトンを集め炎に変換するぼつみんのすぐ横を、ナイフを手にした男が結った金髪を靡かせてダーカーを一突きにする。

「挨拶も済んだし、最後に観光でもして帰ろうかと思ったんだけれど……なんだか、楽しそうじゃない?」

 ひらりと黒いコートを翻し、一直線にナイフの反射光が走る。ガウ・オガキバルが倒れ伏す。仕留めた男、リアン。

 

「……フッ。曲者揃いと言えど、それだけ、よくやってくれる。流石はこの地域に来るアークスたちだけある……頼もしい限りだ」

 オスカーが笑う。

 吸われていた光が戻ってくる。また、朱い月明りが山間に差す。

 オスカーとリアンが次の標的を求め、並走する。

「しかし君は、どうやらアークスではなさそうだが」

「ああ。観光の帰りさ。もう帰るから目を瞑っておくれ」

「……では、ダーカーには手を出すな。君のようなものでは危険だ」

「危険! そう言われると手を出したくなるね。だけれども、ここは従っておこうか」

 頷き、双方別の獲物に目を向ける。

 リアンは愉しそうに、黒の民へ。

 オスカーは凛々しく、ダーカーへ。

 銃声と閃光が舞うその真ん中を、アリスがつかつかと通り抜ける。

「次はあなたね。この地に囚われた、醜き女郎蜘蛛」

​ 

とある日の戦道固定の風景が、メンバーが、豪華すぎたんです

個人的オールスターでした

一人、キャラ勢ではなさそうな、そして付き合いが浅く、中の人が変人なわけでもないためにキャラ付けが難しかったり、な人がいらっしゃったので、この手の扱いに耐性があるかもわからなかった為に、代わりに個人的に勝手に混ぜたかった別の人のキャラをお借りしてしまいました

​この場でお詫びとお礼を申し上げます なおここまで書いて力尽き供養公開した模様

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