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―Collaboration

Episode4
わごとマルス

  キャンプシップにわごとマルスがいる。

 カタナの扱い方について、実際に動きながら語り合っていた二人は、ふと、流れるように話題を変えた。

「今やっているVR、そういえばまだ行ってない」

「行くか」

 それだけ言葉を交わしたら、あっという間に該当するクエストを受注して出発していた。

 普段あまり接点のない二人だが、どちらもカタナ好きだったから、戦術論には花が咲くらしい。

 そのクエストは地球が発見されてからの守護輝士の活動を手短なVR訓練という形で追従する趣旨のものなのだが、彼らがそれを受注したのはそんな感慨にふけるような動機ではなく、アムドゥスキアの壊世区域に居たデッドリオンという龍族に当時存在しなかった技術は今通用するのかということを試す為だった。小気味良いテンポで相手の攻撃を受け流しながらはじき返す。どうやら通用するらしいということを無言のうちに揃って認識する。

 階段を駆け下る間に、余分に回復剤を消費したマルスの申し出でわごが余剰分を投げ渡し融通する。

 そうして下りきった先で待ち構えていたVRのアーデムとファレグが一礼と共に名乗りを上げる。

 二人は同時にファレグに切りかかったが、わごの様子を見てすぐにマルスは注視する相手をアーデムに切り替え、フォトンの斬撃を飛ばす。

 互いに一方の注目を奪った後、自然に双方戦場を引き離す。無論、戦いやすくするためだ。

 わごは心底楽しそうにファレグの手刀をいなして切り返す。マルスの方もアーデムの動作を注意深く観察し、ここぞというところで必殺の一撃を叩き込む。ターンバトルを味わう戦い方をしながら、どちらが先に倒すかどこか競っていた。

 彼らが今やっているのは戦いというより、確かに訓練であった。自らや仲間の生死を賭けているのではなく、どういった戦い方が一番ぴたりと収まるか試すような心地で、力強くカタナを振っている。実際、こういう心地でやっている方が動きの精度も高まりやすい。

 わごの方はどうだか知らないが、少々理論家の気があって仲間の死を悼む方であるマルスは、こういうものの方が尚更やりやすかった。

 いや、悼む方、というのは少々語弊がある。

 当人が持っている"どうやっても覆らない性質"のために、彼は同種の生き物であろうと羽虫を叩き落とすがごとく何のためらいもなくスパンと殺せてしまう。しかし普通の人間というのはそうではなく、もっと明らかな抵抗が生まれるということを知っている。知っているから、ある程度の演技をしなくてはならない。その演技を最適解だと知れば何の抵抗もなくそうしてこれた頃とは違い、今のマルスはそういった取り繕いをすることに対して心苦しさを感じるだけの道徳をしっかりと持っている。VRとなれば、一応、いちいちそんな心配をする必要もない。リンクのように戦闘行動に一種の割り切りを持っている人間とは付き合いやすかったが、その点でいえばわごもそうだ。案外この二人は戦線での相性は悪くないように思える。

 そういうわけで今VRシステム上のアーデムが目の前で必殺の大規模魔法陣を組みたてつつある時も、マルスは至って冷静だった。全方位に放つこれをまともに喰らえば一切の戦闘行動を行えない状態に叩き込まれるのは間違いないが、ファレグとやりあっている彼女は果たしてこの状況に気が付き、適切に回避できるだろうかとぼんやりと考えながら回避の機会を伺っていた。結果マルスは回避したもののわごは背後からの直撃を喰らった。やはり何か合図ぐらい出してやればよかったかと思いながら位置取りをしムーンを投げ、しかしきっと闘争に夢中で気が付かなかったかもしれないなどと片付けて改めてアーデムに止めを刺す。この後その辺りを話したマルスに対して「いやもう分かった、次は喰らわない」と言ったわごは全く言葉通り確実に回避するようになった。

 全ての内容が終わり再現内容がイギリスのエスカタワー内部に移行すると、マルスは行ったことが無いのでガラス張りの窓へと吸い寄せられて手すりを掴んで街並みを眺めていた。わごの方はというと、ユヅキとシエラに強請ってファレグとの闘争の場をここにセットしてもらったことがある。しかしさっさと帰るのもなんなのでなんとなくついていってやった。イギリスという土地のことはマルスはとある用事で調べた時に興味を持っていたから、いずれ観光してみたいと呟いてマルスも帰ることにした。……と、テレポーターに足を運んだマルスを、気が変わったらしいわごが呼び止める。

「ちょいと、やらないかい」

「冗談でしょ、勝てる気はしないんだけどね」

 そう言いながらも、マルスも既に構えていた。

フレンドのわご姉貴をお借りしました

内容がほぼほぼもうただの日記なんだよなぁ

わごマルスコンビ意外と悪くないじゃんって話になったのでそのまま書きました

一戦目~三戦目ぐらいとかをごちゃ混ぜにしてます 何回行ったっけ

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