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―HISTORY

Episode4
ユヅキとユヅキ 

ユヅキ「皆で持てる力を振るい協力してダーカーを殲滅すれば無事解決するって何故わからないんですかッ!」

仮面ユヅ「それは綺麗事だッ、現に貴様やマトイという能力ある者の末路はどうだ、身に染みている筈なのに何故わからないッ!」

ユヅ「僕の癖に」

仮面「私の癖に」

「「解らず屋めッ!!」」

仮面「ダーカーの侵食は免れない、ならば個人として、大切な人間は早急に殺してやるべきだ!」

ユヅキ「それじゃ解決になってないじゃないかッ! まだダーカーを駆逐できるかもしれないのに!!」

仮面「貴様は何を学んできたんだ!!フォトンを貪り増殖の一途なんだぞッ」

ユヅキ「でもッ……!」

マトイ「|;д;`)あっあの~……! お、おやつできたよ~……」

ユヅ&仮面「「食べる」」

仮面「いいか……ヤツらはフォトンを喰い散らかし属性を反転させぶくぶくと増えていく寄生虫だ。我々アークスが増えて行けばいくほど餌を用意するのと同じ。時空を超え出現し浸食する黒い津波に抵抗する術などない」(クッキーボリボリ

ユヅキ「なにをおっしゃいますか、それ以上に数の優位を確保すればいい話です! それに実際反抗作戦は成功しています」(ムシャシャ

ユヅキ「ダークファルス【巨躯】、【敗者】の撃退は記憶に新しいでしょうっ! 敵司令二柱を撃退した功績は未来を明るくしました」

仮面「現実逃避も大概にしろ。どちらもダークファルス【双子】による吸収であり、模倣体の際限なき生産を許しただけだ。どう見ても悪化している。これのどこが撃退だと?」

ユヅキ「ぐっ、ぐぬぬ……しかし、現在継戦しているように片っ端から潰すしかないでしょう……。これまでもそうしてきたように!」(ポッキーパリッ

仮面「つまり一切の進歩なし、と」(お茶ズズッ

 

ユヅキ「現状は戦況が落ち着き、他惑星の調査という本来の任務に戻れてきています」

仮面「ほーう。楽観視、放置か?」

ユヅキ「あ、いえ、そうではありません……自分で言うのもなんですが、最高戦力二人のフル充電も完了しまして、それと結果的にとはいえD因子の浄化ヒントが現在調査中の地球から得られそうなんです、それが成功すれば戦況が一気にひっくり返る可能性もあります」

仮面「ほう、その電池に掛かる負担は?」

ユヅキ「えーと……まだ具体的には……」

仮面「ハ! 呆れたな、捕らぬ狸の皮算用じゃないか」

ユヅキ「貴方が指摘した劣勢の状況から、これだけの希望が整ったんですよ!? 感激すべきでは?!」

仮面「うむ、涙が出るね、またマトイが酷使されそうで」

ユヅキ「でもそれだけ戦略的価値が望めるんですよ、頼るのも、頼られるのも仕方ないんじゃないかな?」

仮面「その優秀な一部に頼った結果、【深遠なる闇】という歪が発生しているというのに。実に愚かで呆れかえるほど馬鹿馬鹿しい事実にまーだ気付かないまま、よくもしゃあしゃあと吐けるな。死ね」

ユヅキ「直球ですね!? じゃあ貴方はどうするのが最適と?」

仮面「死にたい奴から死ね、殺したい奴から殺す!」

ユヅキ「敗北主義じゃないですかっ! 駄目ですねこれは粛清待ったなし」

仮面「フン。語るに落ちたな、全体主義。生物として劣っているんだから狩られるのみだ。しかしせめてダーカーに食われる前に殺してやろう、死んでやろうという誇りは人間の持ち物だ。我々はフォトナーの害虫駆除の虫ではないことを死を持って示す」

ユヅキ「だから希望を捨てすぎだって言ってるんですよ!! 貴方の言ってることは何の解決策にもなってませんッ! 死が幸福などと認めません!」

仮面「それは貴様がヤツらの恐怖に直面してないから言えることじゃないか? 彼女がどれだけ怯えていたか知ってるだろう」

ユヅキ「ですから、もう怯えなくていいようにするための反攻ですよ! 言ったでしょう、ヒントが手に入りそうです。手にすれば貴方が絶望してウジウジしてたことが馬鹿らしくなるぐらい戦況がひっくり返るかもしれません。それに手を伸ばし、必死に汎用化の手立てを探るのが無駄だと? 馬鹿馬鹿しい!」

仮面「そう思ったシオンの手によってマトイは」

ユヅキ「では貴方はマトイの生誕を無駄だとおっしゃいますか? 実際に今、僕とマトイはアークスの士気高揚にも役立っています。……みたいです。それを無駄だとは決して言わせない。無駄にしない。僕らは未来を見つめ続けて、無限の可能性を切り開き進んでいく」

 

ユヅキ「黒い津波に怯えるならば、まずは防波堤を築きましょう。力を蓄え、技を磨き、来たるべき日に海を割って進みましょう。その一条の光を闇の奥の底、貴方の元まで眩く届けてみせましょう、マトイと共に」

仮面「……大きく出たな」

ユヅキ「しかし今はその時ではありません。ご負担をおかけしてばかりで優しい僕たる貴方がひよるのも無理はないですけど、もうしばらくの遡行封印の続行をお願いします」

仮面「誰がひよるか。貴様じゃないんだぞ。また来る」

ユヅキ「えっ……。少なめにしてくださいね」

仮面「殺すぞ」

マトイ「あっ、あれっ!? あの子、いつの間に帰っちゃったの!?」(お茶オカワリ
ユヅキ「さっき泣きながら尻尾巻いて帰ったよ。あ、あとマトイのお菓子美味しかったって。嬉しかったってさ」
マトイ「そっ、そっか。いってらっしゃいって言いたかったなぁ……」


ユヅキ「きっと、マトイに会えただけで充分なんだよ」​

 

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